ウィッシュリスト活用術 | autochromatics differencia

ウィッシュリスト活用術

アマゾンにウィッシュリスト機能というものがある。これは、他人に自分の欲しい商品を公開し、誕生日プレゼントなどに送ってもらうという場面を想定して作られたようだ。確かに、この機能を活用すれば、確実に自分の欲する商品を送ってもらえるという点で、プレゼントの「不発」を防止する役には立つだろう。

だが、こんなリストから選択した商品を贈られて、本当に嬉しいのだろうか。これは、「プレゼントを贈る」という行為に付随する楽しみの大部分を削ぎ落としてしまう。贈る側と贈られる側との品物選択における「駆け引き」(誕生日の前にそれとなく当人の好みを聞き出す等々)や、両者がもつ「期待」(贈られる側が喜んでくれるか、贈る側が何を選んでくれたのか)における二重の「未知性」を、それは縮減させてしまう。プレゼントが贈られる側の意に適ったものである場合の喜びは、自分の欲しい商品が手に入ったということよりも、贈り主が自分に注いでくれた「観察眼」への賛美を通して(「私がこれを欲しかったこと、どうして分かったの!」)得られる。こうしたプレゼントの贈呈におけるドマラツルギーを介してこそ、お互いの信頼性は高まることになるのだが、ウィッシュリストというコンセプトにはこうした要素が存在しない。

ウィッシュリストが実際にどの程度活用されているのかは知らないが、少々辛辣な物言いをすれば、これを活用してプレゼントを贈ることと、直接現金を贈ることとはそれほどの違いがないように思う。

 このリストが効果を発揮するのはより「即物的な」人間関係にある人同士の間でプレゼントを贈呈する場合であろうが、少なくとも友人間や恋人間においてこのリストを活用するのは対人関係形成上プラスには働かないように思う。予想されるコンフリクトの可能性を縮減させ、それを回避しつつ人間関係を形成しようとすることは、互いの親密性を高めるための助けとはならない。コンフリクトから逃げ回っている人間との間に信頼性など築くことはできないというのは当然のことだろう。不確定性の主要な源泉である他者と、利害関係を越えた友人や恋人として付き合うということは、その不確定性を逃げずに受け止めるということだから。

(註:別にアマゾンにうらみがある訳ではなく、疲れたのでちょっと小言を書きたかっただけである)。

私の場合はこのリストを違うやり方で活用している。私には、新品で買う気はないが、ユーズドである程度値段が安くなるなら買いたいという商品が多々ある。現在、その商品がアマゾン内にユーズドで出回ってはいないとする。その場合、私はその商品をウィッシュリストに放り込んでおく。そして、時々ウィッシュリストを回覧し、ユーズド商品が新たに登録されていないかをチェックし、それが自分の財布の許す金額以下であれば購入を検討する。このようにすると、ユーズド商品のチェックを一々検索せずに行うことができる。私のように欲しい書籍が大量に存在する者にとって、ウィッシュリストをこのように使用することは無駄な骨折りを省くなかなか便利な方法なのである。

 もちろん、アマゾンにはユーズド商品の予約機能もあるが、これの欠点は、一度登録すると、希望する商品が入荷したときに自動的に注文が確定してしまう点だ。入荷時における自分の経済状況を加味して商品購入を決定したい場合には、この注文確定の前にもうワンクッション選択プロセスが欲しいのである。また、欲しい商品間に優先順位がある場合にも、この選択プロセスにおけるワンクッションは必要である。

このようなリスト機能、「日本の古本屋」(http://www.kosho.jp/ )にも欲しい。

 さて、今日の晩御飯。

11/19

メニュー

ペンネ 鰯のトマトソース

焼きソーセージ マスタード添え

コンソメスープ

トマトの胡麻マヨサラダ